アミノ酸のダイエットと脂肪燃焼の効果は本当?

アミノ酸には脂肪を燃焼して痩せやすくするダイエット効果があると言われていますが、これは本当のことなのでしょうか。

アミノ酸ダイエットと呼ばれることもありますが、このダイエット方法はアミノ酸を飲んで運動をすると、飲まずにただ運動をするよりも脂肪がたくさん燃焼するというものです。

本当にアミノ酸を飲んでから運動をすれば脂肪がより多く燃焼するのか?、この疑問について詳しく解説します。

アミノ酸が脂肪を燃焼させるしくみ

体内にはリパーゼという脂肪の燃焼を補助する酵素がありますが、アミノ酸を飲むことでこの酵素を活性化させるというのが、アミノ酸を飲むと脂肪が燃焼するというしくみです。

リパーゼには脂肪を分解して血液中に送り込む働きがあります。アミノ酸を飲んでこのリパーゼを活性化させ、脂肪が分解されて血液中に送り込まれているまさにその瞬間!に運動をすれば脂肪が燃焼しやすい、という論理です。

確かに考え方としてはおもしろいのですが、脂肪が分解されている時の運動がより脂肪を燃焼させやすいのか?、と問いかけられれば、それは間違いだと言わざるを得ません。

仮にアミノ酸を飲んで脂肪が分解された状態であっても、そうでない場合であっても、運動量が同じなら運動によって消費されるカロリーは全く同じです。

じゃあアミノ酸には全くダイエット効果がないのか?、というとそうでもありません。

アミノ酸の間接的なダイエット効果を解説する前に、まずはプロテインのダイエット効果から解説しておきます。

プロテインは運動パフォーマンスを上げる栄養素

プロテインは体の筋肉を作る栄養素です。運動によって筋肉が酷使された後には、プロテインを飲んでおくと筋肉が修復されやすくなります。

運動をして筋繊維が壊れた状態のままで次回運動するより、筋繊維が修復されていた方が運動パフォーマンスが上がります。つまり、運動後にプロテインを飲んでおけば、次回に運動する時の運動パフォーマンスを上げることができるわけです。

運動パフォーマンスが上がれば運動量が増え、運動量が増えれば消費カロリーが増えます。

例えば前回の運動では分速100mの速度でしかジョギングできなかったのが、分速110mでジョギングできるようになれば消費カロリーも10%増えます。

筋肉の修復過程には超回復という現象が起こります。超回復とは運動することで壊れた筋繊維が体の自然治癒の機能で修復される時、筋繊維が壊される前よりも太くなって修復される現象のことです。

これは筋トレをすれば筋肉が太くなるしくみです。筋トレをする時には筋肉を作る栄養素としてプロテインを飲みますが、プロテインの成分を細かく分解するとアミノ酸になります。

上に書いた解説文の「プロテイン」を「アミノ酸」に置き換えてみてください。アミノ酸の間接的なダイエット効果とはこのことです。

アミノ酸がプロテインより劣る理由

アミノ酸とプロテインの効果を比較した場合、プロテインの方が優れています。なぜなら、筋肉を修復させる手段として考えた場合には、アミノ酸は不完全な栄養素だからです。

プロテインは20種類のアミノ酸が結合して作られています。そのうちの9種類は必須アミノ酸と呼ばれていて、体の中で合成できないアミノ酸です。(残りの11種の非必須アミノ酸は体内で合成できます。)

プロテインには「アミノ酸スコア」というプロテインの栄養価を量る指標があります。これが100に近いプロテインほど、体に利用されやすい(筋肉を修復させやすい)優れたプロテインです。

例えばアミノ酸スコア80のプロテインを100g飲んだ場合、80g分だけ体に利用される(筋肉の修復に利用される)わけです。

だから、アミノ酸スコアが100に近いプロテインほどダイエット効果が大きいのです。

そのプロテインのアミノ酸スコアを決めるものは、プロテインを作る元となる20種類のアミノ酸のうちの、9種類の必須アミノ酸の構成バランスです。

9種類の必須アミノ酸のうちの1種類でも欠けていれば、そのプロテインのアミノ酸スコアはゼロになります。必須アミノ酸が1種類でも欠けているプロテインは体に利用されない(筋肉の修復に利用されない)からです。

アミノ酸のサプリメントは20種類あるアミノ酸のうち、数種類だけを取り出してサプリメントにしたものです。言い換えればアミノ酸スコアがゼロのプロテインです。

このようなアミノ酸のサプリメントを飲んでも筋肉の修復には利用されません。だから次回の運動パフォーマンスが向上することもなく、ダイエット効果もゼロになります。